下記に代表的なカルボカチオンの基本構造を示します。
図の右側に行くほどより安定なカルボカチオンと言われています。
ここは暗記事項です。カルボカチオンの安定性はメチルカチオン<第1級<第2級<第3級であることを押さえておきましょう。
なぜ、3級の方が安定性が高いのでしょうか。
それは、「超共役」と呼ばれる効果が働くことでカチオンのプラス性が安定化されると考えられています。
超共役とは、メチル基やエチル基などの炭素の鎖が構造全体で持つ電子を近くのπ*軌道やp軌道に流れ込むことです。
その事によりカチオンのプラス性が薄められることで構造全体の電子の偏りが少なくなり、安定化すると考えられています。
つまり!
カチオンのすぐ隣にローンペアや炭素の鎖があればあるほどそのカチオンは安定化するということです。
ベンジル位とは芳香環のひとつ隣の位置、アリル位とは二重結合のひとつ隣の位置を指します。
このベンジル位やアリル位にカチオンが存在する場合をベンジルカチオン、アリルカチオンとそれぞれ呼ばれます。
これらのカチオンは前述の第2級カルボカチオンとほぼ同等の安定性を持つと覚えて下さい。
ベンジルカチオンとアリルカチオンは共鳴によりカチオンのプラス性が一つの位置にとどまることなく、移り変わります。
そうすることで構造の中で電子の偏りが少なくなります。
このことから、カチオンとして安定して存在し続けることができるのです。
ベンジルカチオンとアリルカチオンは第2級カルボカチオンとほぼ同等の安定性を持つと考えられます。