アルケンの反応

アルケンはご存知の通りπ結合を形成する平面構造を有している化合物です。このアルケンには「付加反応」が発生しやすいことをまず覚えておきましょう。付加反応はanti付加とsyn付加の2種類に分けることができます。それぞれの特徴について以下にまとめますので参考にしてください。

アルケンのanti付加とsyn付加

アルケンに対する反応は最初にお話した通り、平面構造に対する付加反応が代表的です。付加反応はさらに平面構造の同一方向に置換基が付加するsyn付加と平面構造の反対方向に置換基が付加するanti付加の2種類に分けることができます。

syn付加とanti付加

ハロゲンの付加

ハロゲンのアルケンに対する反応はanti付加で進行します。これはハロゲン分子内に発生しているわずかな分極(プラスとマイナスに帯電すること)アルケンの不飽和結合に関わっている電子がハロゲン分子のδ+性ハロゲンに反応します。これにより三角形のハロニウムイオン中間体を生成し、三角形の頂点とは反対の方向から残りのハロゲンイオンが反応し、anti付加したハロアルカンを生成します。

※anti付加であることは記憶するのではなく反応機構を理解し、思い浮かべることでanti不可することがその場で考え出すことができるはずです。

ハロゲンの付加(anti付加)

接触水素化

貴金属の触媒を利用してアルケンと水素を反応させる事でsyn付加したアルカンを得ることができます。この時の反応は金属の触媒にペタペタとくっついた水素がアルケンの不飽和結合に同一平面から接近して反応するイメージです。ですからアルケンに水素はsyn付加するわけです。下のイメージをご覧になり頭の中で反応を想像してみるとよくわかります。

※反応生成物の立体は覚えるのではないのです。反応機構をイメージすればその反応物の立体は自動的に決まるはずです。

接触水素化(syn付加)

1,2-ジオール反応

ジオールとは二つの水酸基(-OH)が一つの構造内に存在する構造のことを指します。四酸化オスミウムをアルケンに反応させることでアルケンの不飽和結合に四酸化オスミウムが架橋のように結合した環状オスミウムエステルを生成し、その結果二つの水酸基が同一平面に結合したsyn付加が進行します。

1,2-ジオール反応(四酸化オスミウム)