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アモキシシリンの使い方

はじめに

抗菌薬の投与は、治療上必要とされる場合に必要十分量を適切な期間投与することが重要です。

 

投与方法、投与に際しての注意(禁忌・警告等)等に関する詳細な情報については、各医薬品の販売会社から発行されている添付文書を参照する様にお願い致します。

添付文書上での用法用量

通常、20mg〜40mg/kg/dayを1日3回〜4回に分けて経口投与。

症状に応じて適宜増減する。

 

1日量として90mg/kgを超えない事。

最大投与量における注意

添付文書における通常使用の場合、成人投与量の最大は1000mg/day

 

但し、急性副鼻腔炎診療ガイドラインにおける成人投与量の最大は1500mg/dayとなっている為、小児治療の場合でも90mg/kg/dayを超えて処方される場合がある事に注意が必要です。

 

参考に、海外における肺炎治療ガイドラインでは4000mg/dayでの使用が行われています。(Pediatric Community Pneumonia Guidelines)

急性気道感染症における診療フローチャート

下に、抗微生物役適正使用の為の手引きより抜粋した、急性気道感染症における診療フローチャートを示します。

 

この図において、抗菌薬の投与が必要と判断された場合の第一選択やくはいずれの場合もアモキシシリン(AMPC)となっています。

抗微生物薬適正使用の為の手引きより抜粋

小児市中肺炎における初期推奨抗菌薬

細菌性肺炎が疑われる場合 非定型肺炎が疑われる場合

 第一選択薬

アモキシシリン(AMPC) 30mg-40mg/kg/day 分3-4回

エリスロマイシン(EM)40mg/kg/day 分4

クラリスロマイシン(CAM)10mg-15mg/kg/day 分2−3

アジスロマイシン(AZM)10mg/kg/day 分1 3日間 

第二選択薬

アモキシシリン・クラブラン酸(AMPC・CVA)

               96.4mg/kg/day 分2

セフジトレン-PI(CDTR-PI) 9mg-18mg/kg/day 分3

セフテラム-PI(CFTM-PI) 9mg-18mg/kg/day 分3

セフカペン-PI(CFPN-PI) 9mg/kg/day 分3

 

上記抗菌薬の治療を過去に受けているにもかかわらず発症・再発・再燃したなど他の経口抗菌薬による治療効果が期待できない場合

テビペネム-PI(TBPM-PI) 8mg-12mg/kg/day 分2

トスフロキサシン(TFLX) 12mg/kg/day 分2

マクロライド耐性マイコプラズマが強く疑われる場合

トスフロキサシン(TFLX) 12mg/kg/day 分2

ミノサイクリン(MINO)(8歳以上) 2mg-4mg/kg/day 分2

小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017より抜粋

アモキシシリンの高用量投与について

アモキシシリン(商品名 サワシリン等)等の、ペニシリン系抗生剤は添付文書での最大用量を使用しても、感染症治療に於いては用量が不十分な場合があります。

 

海外のガイドライン等では、日本国内での添付文書量の最大用量が、最低用量となっている場合が多く、感染症の重症度によっては倍量を使用してする事もあります。その為、小児でも90mg/kg/dayを超えての投与をする場合がありますが、成人投与量でも、1500mg/day、場合によっては4000mg/dayを投与することもある為、感染症の重症性を考慮して時には添付文書上の最大投与量を超えて使用することも必要です。

 

アモキシシリンは、グラム陽性菌と陰性菌の一部をカバーする抗菌スペクトルを有していますが、β-ラクタマーゼに不耐性の為、グラム陰性菌への更なる抗菌活性を高める為に、クラブラン酸(CVA)等のβ-ラクタマーゼ阻害薬を合わせて使用する事はよく知られており、国内でも配合剤の販売が行われています。

 

上記の配合剤は、クラブラン酸による下痢の副作用が知られており、アモキシシリンの投与量を増やし、クラブラン酸の投与量を抑える為にアモキシシリン単剤を併用します。

 

また、アモキシシリンとクラブラン酸の投与比率は14:1以上あれば有効であると知られています。