抗体製剤ゾレアについて

元来、ゾレアというお薬は難治性の気管支喘息の治療に用いられていたお薬です。

2019年末に新たに重症季節性アレルギー(通称花粉症)にも適応が追加され、利用の幅が広がりました。

 

ゾレアのはたらき

ゾレアは私たちの体の中に存在する免疫機能の一つであるIgEという伝達物質に働くおくすりです。

このIgEとゾレアは結合し「かぎをかける」ことでそのあとの神経伝達を抑える働きがあります。

 

花粉などの様々なアレルギー物質が体のなかに入ってくると、様々な伝達物質を介してアレルギーの原因となるヒスタミンやケミカルメディエーターと呼ばれる物質を生成します。このヒスタミンやケミカルメディエーターを抑えるお薬が従来のアレルギー薬です。

 

IgEはこれらの物質を放出する役割を担う「マスト細胞」という細胞に「橋を架け」、「花粉などのアレルギー物質がからだにはいりました!」と情報を伝達する上で重要な役割を担っています。

通常は免疫機能の一部として重要な役割を果たしますが、大量の花粉などのアレルギー物質とIgEが反応するとヒスタミンやケミカルメディエーターなどの神経伝達物質が大量に生成され、鼻水や体のかゆみなどのアレルギー反応を引き起こします。

ゾレアによる治療を受けられる対象者

ゾレアは重症の患者様に向けたお薬の為、使用するには以下のような条件が必要です。

 

◇季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の薬を使用した

 

◇上記の治療をおこなったにもかかわらず、効果が不十分で重症または最重症の状態であった

 

◇血液中の総IgE値が30~1,500 IU/mLの範囲にある

 

◇アレルギーがある

 (アレルギー抗原(スギ花粉)に対して陽性反応を示す)

 

◇12歳以上で、体重が20~150kgの範囲にある

ゾレアによる治療スケジュール

ゾレアによる治療は通常、月に1回もしくは2回の頻度で注射を行います。

自己注射ではないため、病院で受ける必要があります。

 

投与量は75mg~600mgの範囲で設定され、IgE濃度によって決定されます。

治療費について

ゾレアによる治療費は患者様の保険による自己負担割合や、投与量によって様々です。

 

月に1度の注射で75mgを使用する場合、23625円の薬剤費の内3割、2割、1割が患者様の負担となります。

詳しくはノバルティスファーマのHPもしくは医療機関へご相談下さい。