抗インフルエンザ治療薬アビガンの新型コロナウイルスに対する使用

アビガンとは

ファビピラビル(アビガン)は、2014年に日本で開発された新しいインフルエンザ治療薬の一つです。

 

アビガンはタミフルやイナビルなどのように「ウイルスを閉じ込めて抑える薬」ではなく、「ウイルスの増殖そのものを抑える薬」であることに大きな違いがあります。

 

また、アビガンは動物実験で胎児に対する催奇形性の可能性が指摘されたため、厚生労働省による製造販売承認が大幅に遅れ、認可も「新型及び再興インフルエンザに対する緊急の場合のみ製造可能」という条件付きの認可となった。

アビガンの作用機序

アビガンは、RNAウイルスであるインフルエンザウイルスの「RNAポリメラーゼ」という酵素の働きを抑制することでウイルスの増殖を抑えます。

 

「RNAポリメラーゼ」はインフルエンザウイルスが感染し、私たちヒトの細胞を利用し、「核酸」と呼ばれる遺伝暗号が入った物質を増幅し、さらにその「核酸」から新たな「ウイルスタンパク」を作成する為に必要不可欠な酵素タンパクです。

 

インフルエンザはもちろん、2020年世界で問題となっている新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同様に「+鎖RNAウイルス」の一種であり、その増殖過程は似た部分があります。

 

したがって、ファビピラビル(アビガン)は新型コロナウイルスに対しても同様に細胞内でのウイルスの増殖を抑制する効果が期待されています。

アビガンの作用機序

禁忌

禁忌は以下の2点

 

・妊娠している婦人または妊娠している可能性のある婦人

 

・本剤に対して過敏症のある患者

アビガンの適応

 

新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、 他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)

アビガンの用法用量

<1日目>

1回1600mgを1日2回分服

 

<2日目~5日目>

1回600mgを1日2回服用

 

※総投与期間は5日とする

注意点

催奇形性に関して以下の注意点があります

 

・投与に際し妊娠検査を行い陰性であることを確認する

 

・精液中に移行することから男性の場合は性交渉時にコンドームを使用するなどし、避妊する

 

・母乳中に移行することから授乳中の婦人は授乳を中止する必要あり