ステロイドとは元来ヒトの副腎より分泌されているホルモンの一種です。
私たちが通常使用しているステロイド薬は主に糖質コルチコイド作用を期待して投与されるものです。
ステロイドは、大きく分けて「糖質コルチコイド」と「鉱質コルチコイド」に分類することができます。
糖質コルチコイドは、全身の細胞に存在するステロイド受容体に作用することでmRNAの転写を調節し、各種炎症性サイトカインやプロスタグランジンと呼ばれる炎症誘引ケミカルメディエータの産生を抑制します。
従って、糖質コルチコイドは主に炎症やアレルギー反応を抑える働きのあるホルモンと考えることができます。
※糖質コルチコイドは血糖値・血圧の上昇、胃酸分泌の増加、コラーゲン産生の抑制作用による骨粗しょう症のリスクがあります。
それに対して鉱質コルチコイドはナトリウムの再吸収に寄与しています。
ナトリウムは水分の移動と連動します。ナトリウムが再吸収されることで体内の水分量を増加させる働きがあります。従って、鉱質コルチコイド作用により心疾患や血圧が上昇するリスクがあると考えることができます。
作用時間 | 一般名 | 商品名 | 臨床での対応量 |
効力比 (VSコルチゾール) |
血漿半減期 |
生物活性の半減期 | |
抗炎症作用 | 電解質作用 | ||||||
短時間型 | ヒドロコルチゾン | コートリル | 20 | 1 | 1 | 1.5 | 8-12 |
コルチゾン酢酸エステル | コートン | 25 | 0.8 | 0.8 | 1.5 | 8-12 | |
中間型 |
プレドニゾロンコハク酸エステル |
プレドニン | 5 | 4 | 0.8 | 2.7 | 18-36 |
メチルプレドニゾロンコハク酸エステル | メドロール | 4 | 5 | 0.5 | 2.75 | 18-36 | |
トリアムシノロンアセトニド | レダコート | 4 | 5 | 0 | 4.2 | 24-48 | |
長時間型 | デキサメタゾンリン酸エステル | デカドロン | 0.75 | 25-30 | 0 | 5 | 36-54 |
ベタメタゾンリン酸エステル | リンデロン | 0.75 | 25-30 | 0 | 5 | 36-54 |