ARBの違いについて

ARBの作用機序

ARBはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の最下流にあるアルドステロン受容体のサブタイプ、AT2受容体を拮抗することにより、高圧効果を発揮する。

 

アルドステロン受容体に作用するのはアンジオテンシンは以下の過程により生成される。

 

肝臓で産生されたアンジオテンシノーゲンが腎臓の傍糸球体細胞で産生されるレニンによりアンジオテンシンⅠ(AⅠ)となった後、アンジオテンシン変換酵素(ACE)とキマーゼという酵素によりアンジオテンシンⅡ(AⅡ)に変換される。

 

AⅡ産生工程に関与する酵素としてキマーゼが重要であることが明らかになっている。

 

ACE阻害剤はこの3割分のAⅡ産生過程を抑えることにより降圧効果を発揮するのに対し、ARBは受容体そのものをブロックするため、より高い効果を発揮するとかんがえられている。

ARBの比較表

  商品名 一般名 用法・用量 作用形体 代謝・排泄
   ニューロタン  ロサルタン 1日1回25-50mg プロドラッグ 肝代謝
  ブロプレス カンデサルタン 1日1回4-8mg プロドラッグ 肝代謝
  ディオバン バルサルタン 1日1回40-80mg 活性体 腎排泄
  ミカルディス テルミサルタン 1日1回20-40mg 活性体 腎排泄
  オルメテック オルメサルタン 1日1回10-20mg プロドラッグ 腎排泄
  アバプロ・イルベタン イルベサルタン 1日1回50-100mg 活性体 肝代謝
  アジルバ アジルサルタン 1日1回20-40mg 活性体 肝代謝

ARBの薬物動態

CYP2C9が関与するものがニューロタン、ディオバン、ブロプレス、アバプロ・イルベタン、アジルバ 。

 

ミカルディスはグルクロン酸抱合を受け、オルメテックは代謝をほとんど受けず、オルメサルタンとして排泄される。

 

消失半減期は、ミカルディスが 最長(21-35時間)、ニューロタンが最短。

 

肝代謝により消失するのがニューロタンとアバプロ・イルベタン、アジルバ。

 

排泄により消失するのがミカルディス、ディオバン、ブロプレス、オルメテックになる。

 

排泄経路は、ミカルディスとディオバンは肝臓から胆汁中に排泄されるのに対し、ブロプレスとオルメテックは肝臓から胆汁中と腎臓から尿中に排泄される。

 

ミカルディスはほとんどが糞中排泄型であるため、腎機能障害時には比較的安心して使用できる。